コンセプト

天平らかにして、地成る。願いを伝え継ぐための商品開発。

760年余りの歴史を持つ博多織には、博多献上(献上縞)と呼ばれる伝統的な柄があります。「独鈷(どっこ)」「華皿(はなさら)」「筋(縞)(すじ・しま)」という、厄除けや人の絆を願う意味を持った3種類の幾何学紋様で構成されています。
この、博多織ならではの「柄に込められた意味」に新しい解釈を加え、より広い市場に適応させる方法はないだろうか、と考えたのが、「平成献上」の開発の始まりです。

私たちは、「独鈷」「華皿」「筋(縞)」という3つの要素を、一旦ばらばらに分解し、それらに柔軟性の高いデザインを施し再構築することで、和装の世界に限らず、用途・目的に合わせて用いることが可能な素材を開発することができると考えました。

つまりそれは、伝統柄の再解釈とパラダイムシフト。

そして、そんな新しい織物に「内平らかに外成る(史記)」と「地平らかに、天成る(書経)」という二つの故事から生まれた元号は、博多献上の持つ「願い」を受け継ぐのに最も相応しい言葉でした。
伝統に敬意を払い、歴史を尊重しつつも、そこからさらに新しい伝統を生み出して行く意志を伝えるためにも、「平成献上」というネーミングは、コンセプトそのものであったとも言えます。